
世界のPC市場は2025年第2四半期に出荷台数が増加しましたが、この成長は消費者の需要回復よりも、短期的なビジネスアップグレードやソフトウェアの納期遅れに起因しているようです。
Canalysの最新データによると、デスクトップ、ノートパソコン、ワークステーションPCの世界出荷台数は前年比7.4%増の6,760万台に達しました。
しかし、この成長の背景にあるのは、市場が消費者の購買意欲よりも、OSのライフサイクルや貿易政策によって大きく左右されていることです。
急増の一時的な要因
Canalysは、2025年10月に迫るWindows 10のサポート終了が、この急増の主な要因だと考えています。
Canalysのリサーチマネージャー、Kieren Jessop氏は、「世界的な不確実性があるにもかかわらず、今年10月に迫るWindows 10のサポート終了は市場の安定に不可欠ですが、消費者セグメントと法人セグメントにはそれぞれ異なる影響を与えています」と述べています。
ビジネス向けPCの導入は勢いを増している一方、消費者の需要は停滞しています。これは、経済全体の不安定さを背景に、多くの個人が支出をためらい、個人向けデバイスの買い替えが2026年にずれ込むためです。
この遅れは、パンデミック期の多くのデバイスの販売終了と重なる可能性があり、来年には消費者の需要が急増する可能性があります。
「法人向けPCの買い替えサイクルは市場に重要な勢いをもたらしています」とジェソップ氏は説明し、最近の調査結果を挙げました。この調査では、チャネルパートナーの半数以上が2025年後半にPC事業の成長を予想しており、約3分の1が10%以上の成長を見込んでいます。
このように、消費者の自然な需要よりも、ビジネス向けのノートパソコンやデスクトップの買い替えに重点が置かれていることから、Windows 10のリリース期限以降は、出荷台数の増加が持続しない可能性が示唆されています。
ベンダーの状況を見ると、レノボが1,700万台を出荷し、前年比15.2%増でトップの座を維持しました。
HPは1,410万台で3.2%増と小幅な伸びにとどまりましたが、Dellは3.0%減となりました。
Appleは21.3%増の640万台と最も高い成長を記録し、ASUSも18.4%増と僅差で続きました。
デスクトップPCの出荷台数が9%増加し、ワークステーションPCを含むノートパソコンの出荷台数が7%増加したことも、市場を押し上げる要因となりました。
Windows 10と法人向けPCの買い替えサイクルに加え、特に米国の関税をめぐる世界的な貿易政策をめぐる緊張の高まりが、PCサプライチェーンに変化をもたらしています。
Canalysの主席アナリスト、ベン・イェ氏は、「トランプ政権の関税政策は、世界のPCサプライチェーンに変化をもたらし続けると同時に、市場の回復にも不確実性をもたらしています」と述べています。
イェ氏は、PCは今のところ関税の対象外となっているものの、状況は不透明だと警告しました。
「当初は単純な中国回避策だったものが、複雑な規制の迷路へと発展しました。」
米越貿易協定により、ベトナム製品には20%、積み替え品とみなされる品目には最大40%の新たな関税が導入されたことで、メーカーはサプライチェーンの転換がコスト圧力への対応策としてもはや現実的ではないことに気付くかもしれません。
全体として、数字は堅調に見えますが、この成長の根本的な原動力は一時的なものであり、固定されたソフトウェアライフサイクルと不安定な貿易協定に大きく依存しています。